無電柱化推進計画の概要と、災害発生時の備えとしての無電柱化

こんばんは、衆議院議員の岡本みつなり(東京12区:東京都北区、足立区、豊島区、板橋区)です。

さる5月25日、国土交通省が、今後 5 年間で、4,000 キロの区間を無電柱化する「無電柱化推進計画」を策定しました。

東京では、オリンピックを目指した公共工事もあいまって、無電柱化工事は以前よりも目に付くようになりました。私が住む東京都北区でも、十条や豊島地域等で、無電柱化工事が進められています。みなさんのお住まいの地域ではいかがでしょうか。

無電柱化のメリットは、大きく2つあります。景観と防災です。

まず、景観が改善され、無電柱化された地域は地価が上昇する傾向が見られます。自宅の窓から電線が見えない光景は、すっきりして素敵だと思います。例えば、ロンドンやパリ、ベルリンといった美しい景観を誇る欧米主要都市は、ほぼ 100%無電柱化が完了しています。

しかし、私が景観より重要だと考える無電柱化の意義は、防災に果たす役割です。

一昨年に千葉県を直撃した台風 15 号では、暴風により電柱や送電線に甚大な被害が発生し、最大で 93 万戸が停電しました。また、倒壊した電線・電柱が道路を塞ぎ、緊急車両が通れなくなったり、避難所へのアクセスが遮断されてしまったりしました。

私はこれまで、無電柱化の推進に取り組み、超党派「無電柱化法案」早期成立促進議連のメンバーとして、2016 年の法案成立に関わりました。その後も、党の国土交通部会長として、無電柱化の意義・必要性を繰り返し訴えてまいりました。

ちなみに「無電柱化の日」は11月10日です。これは、電柱が立っているイメージの「1」が、最終的になくなるということで最後が「0」。それで11月10日となりました。議員連盟でこの日を決めたのですが、図らずしも私の娘の誕生日。やはり無電柱化とは縁があるなと感じました・・・。

さて、無電柱化が進む一方で、毎年新設される電柱も多く、現在日本には約 3,600 万本の電柱が存在し、減少どころか年々増加傾向にあります。

今回、国土交通省がまとめた新たな「無電柱化推進計画」では、今後5年間で 4,000km の無電柱化を目標としています。新たに無電柱化を優先的に進める区間と数値目標が明確にされたことは、高く評価できます。

優先的に進める区間とは、災害時の物資輸送に使用する緊急輸送道路や、避難所へ繋がるルート、また景観向上の観点から著名な観光地の道路などです。非常に重要なポイントをしっかり抑えた計画だと私は捉えています。

無電柱化の一番の課題は、無電柱化のコストです。既に市街化されている地域の地下には、水道やガス管などが埋設されているため、その移設作業から始めなければなりません。そこで、全ての埋設物をトンネルのような大きな筒にまとめて入れ込んで、一元的に管理できる「電線共同溝」方式が採用されています。この方式はアフターメンテナンスが容易な一方、1 キロあたり 5.3 億円もの費用がかかる事がネックとなっています。

今後、無電柱化をスピードアップするには、より低コストの工法に切り替えるか、予算を増額するしかありません。私としては、その地域ごとに求められているニーズは違うため、いくつか選択肢を設けるべきだと考えています。日本全ての地域で、フルスペックの電線共同溝が必ずしも最適とは限りません。

災害は、待ってはくれません。いざというときの備えとして、非常に重要な無電柱化にかかる予算の増額とともに、コスト見直しによる無電柱化のスピードアップに、引き続き取り組んでまいります。

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この記事を書いた人

岡本みつなりのアバター 岡本みつなり 衆議院議員

米ケロッグ経営大学院修了。ゴールドマン・サックスを経て、公明党衆議院議員(4期目、東京12区選出)。衆議院経済産業委員長。元外務大臣政務官。元財務副大臣。 東京29区(荒川区全域・足立区西部)総支部長。矢沢永吉さんの大ファン。

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